ゴォォォォォッ！

ビーデル「悟飯くーん！」

ピッコロ「ごはーん！」

悟飯「……！」

ゴォォォォォッ！

ビーデル「悟飯くーん！」

ピッコロ「ごはーん！」

悟飯「ピッコロさん……ごめんなさい！」ｸﾞｲｯ

トロッコはピッコロ方向に進路を変えた。

猛スピードでピッコロに向かうトロッコ。

ゴォォォォォッ！

ドゴォンッ！

ピッコロ「ぐはぁっ！」

悟飯「ピッコロさん！」

ビーデル「ああっ！」

ピッコロ「ぐ、う……」

悟飯「ピッコロさん、大丈夫ですか！？」

ビーデル「ピッコロさん！」

ピッコロ「……」ｷﾞﾛｯ

悟飯「あ……」

ピッコロ「……」ﾌﾜｯ…

ピッコロは何も言わず、どこかへ飛んでいった……。

悟飯「ピッコロさん……」

ビーデル「ごめんね、悟飯君。私のせいで……」

悟飯「いや、悪いのはビーデルさんじゃないよ。ボクだ」

悟飯「ボクが冷静にトロッコを破壊していれば、こんなことにはならなかった」

悟飯「ピッコロさんの心を傷つけずに済んだ……」

ビーデル「悟飯君……」

悟飯「いっとくけどボクはレバーを動かしたことを後悔はしていない。ビーデルさんが助かって本当によかった」

悟飯「だけど、ピッコロさんは深く傷ついたに違いない……」

ビーデル「悟飯君、二人で謝りに行こう！」

悟飯「え？」

ビーデル「多分神殿に行ったんでしょう？　二人で謝ればきっと許してくれるわよ！」

悟飯「そうだね、行こう！」

ﾋｭﾝｯ　ﾋｭﾝｯ

悟飯「やぁ、デンデ！」ｽﾀｯ

ビーデル「こんにちは！」ｽﾀｯ

デンデ「お二人ともこんにちは！」

悟飯「すっかり立派になったね」

デンデ「ボクなんてまだまだですよ。いつもポポさんに助けられてます」

悟飯「ところで、神殿にピッコロさんが来てると思うんだけど……気を感じるし」

デンデ「あ、ピッコロさんですか……」

デンデ「たしかに帰ってきています」

悟飯「それじゃ会わせてくれないかな？」

デンデ「それが……今は誰にも会いたくないと」

悟飯「え……」

悟飯「頼むよデンデ、会わせてくれ！」

ビーデル「お願い！」

デンデ「すみませんが……」

ポポ「今はそっとしてあげて欲しい」

悟飯「分かったよ。無理いってごめん」

悟飯「ただいまー……」

ビーデル「お邪魔します……」

チチ「おお、二人とも来ただか」

牛魔王「メシ食ってくだよ！　悟天はさっき食って出かけていっただ！」

悟飯「うん……」

ビーデル「はい……」

チチ「どうしただ？　二人とも元気ねえけど……」

チチ「なんだそりゃあ！？」

悟飯「それでピッコロさんを傷つけてしまって……」

チチ「ったく、ピッコロさも女々しいとこあんだな！　あんないかつい顔してるってのに！」

牛魔王「まあ、しょうがねえだよ。悟飯は息子みたいなもんだったんだし……」

チチ「悟飯はおらの子だ！」

牛魔王「いや、そういうことじゃなくてな……」

チチ「とにかく、まずはメシを食うだよ！　腹減ってると気分も沈むだ！」

悟飯「はい……」

チチ「たーんと食って、それでもっかいピッコロさに謝りに行くだ！」

チチ「そしたらきっと許してくれるだよ！」

ビーデル「そうよ、悟飯君！」

悟飯「うん、そうだね。そうしよっか、ビーデルさん。お母さん、ご飯にして！」

チチ「任せとけ！」

悟飯「はー、食べた食べた」

ビーデル「いつもながらよく食べるわね、悟飯君」

チチ「なーに悟空さに比べればずっと控えめだべ」

牛魔王「ハハハ、まったくだ」

悟飯「じゃあ、あらためてピッコロさんのところに行ってきます！」

ビーデル「悟飯君、私も行く！　私も謝りたいの！」

悟飯「え、ビーデルさんは悪くないのに……」

ビーデル「元はといえば私を助けようとしたことが原因でしょ？　絶対ついていくんだから！」

悟飯「分かったよ、一緒に行こう」

バシュッ！

チチ「ビーデルはおらに似ず、気が強いだなぁ。結婚したら悟飯は苦労しそうだ」

牛魔王「え？」

チチ「なんだべおっとう、その『え？』は」

牛魔王「いや……」

悟飯「もうすぐ神殿だけど……」

ビーデル「うん」

悟飯「おかしい……」

ビーデル「え？」

悟飯「ピッコロさんの気を感じない。さっきは感じたのに」

ビーデル「あ、ホントだ……それってどういうこと？」

悟飯「ピッコロさんは……神殿にいない！」

ビーデル「ってことはどこいったの？」

悟飯「分からない……とりあえず、心当たりを探してみよう！」

ビーデル「そうね！」

ﾋｭﾝｯ　ﾋｭﾝｯ

悟飯「……」

悟飯（ピッコロさん……一体どこにいるんだ……）

悟空「ピッコロ？　さあ、オラ知らねえぞ。そういや気も感じねえなぁ」

悟飯「そうですか……」



トランクス「ピッコロさん？　知らないけど、何かあったの？」

ビーデル「うん、ちょっとね……」



ベジータ「俺が知るわけないだろう」

悟飯「そ、そうですよね。すみませんでした」



サタン「ピッコロ！？　あんな奴と結婚など許さんぞ！」

ビーデル「なにいってるのよパパ！」

悟飯「これだけ探しても見つからないなんて……」

ビーデル「どこに行ったんだろう……」

悟飯「まさか思いつめて――」



ピッコロ『悟飯にトロッコをぶつけられた……こうなったら自分の頭を魔貫光殺砲で……』



ビーデル「そんなことあるわけないわよ！　ピッコロさんに限って！」

悟飯「……」

ビーデル「そ、そうだ。あの人、他の星の出身でしょ？　そこへ行ったのかも……」

悟飯「ナメック星か……よし」

悟飯「！」ﾋﾟｸｯ

ビーデル「！」ﾋﾟｸｯ

ビーデル「ねえ、悟飯君、この気……」

悟飯「うん、ピッコロさんだ！　神殿にいる！」

ビーデル「行ってみよう！」

悟飯「うん！」ｷﾞｭﾝｯ

ビーデル「あ、待って！　速すぎよ！」ﾋｭﾝｯ

悟飯「ピッコロさーん！」

ピッコロ「おお、お前たちか。さっきはすまなかったな」

悟飯「いえ、ボクが悪いんです。ボクがピッコロさんにトロッコを向かわせたから……」

ピッコロ「なにをいってる。お前は当然のことをしただけだ」

ピッコロ「俺は“トロッコの進路を変えろ”という意味で、お前に向かって叫んだんだからな」

悟飯「え、そうなんですか？」

ビーデル「じゃあ、さっき落ち込んでいたのはどういうわけです？」

ピッコロ「ああ、あれはな……」

ピッコロ「たかがトロッコにぶつかったぐらいでダメージを受けたことが情けなくてな……」

ピッコロ「俺はすっかり鈍ってしまったのだな、と。つい悟飯のことも睨んでしまった」

ピッコロ「だから、さっきまで修復した精神と時の部屋で、修行していたんだ」

悟飯「そうだったんですか！」

ビーデル「気が感じられなかったのはそういうわけだったのね……」

ピッコロ「おかげですっかり勘を取り戻したがな」

ピッコロ「はぁっ！」ﾎﾞｳｯ!

ビーデル「きゃっ！」

悟飯「ずいぶんパワーアップしましたね、ピッコロさん！」

ピッコロ「まあな……いつまでもお前に負けていられん」ﾆﾔｯ

ピッコロ「どうやら色々と誤解を招いたようだが、俺は大丈夫だから心配するな」

ピッコロ「これからも、そのビーデルという娘を大切にしてやれ」

悟飯「はいっ、トッコロさん！」

ピッコロ「誰がトッコロだ！」

悟飯「す、すみません。トロッコと混ざって……」

ビーデル「ふふっ……悟飯君ったら」






おわり